春を代表する花が桜であれば、ガクアジサイは梅雨の時期を代表する花です。鎌倉の明月院など、東西南北に名所があります。「万葉集」や「本草和名」などの古い書物に登場し、各地にお金や健康にまつわる俗信が残る日本人と関わりの深い植物です。

日本では古くから庭園に植えられてきたモミジは、日本人の間で最も親しまれてきた植物の1つです。葉の裂片を数えると「いろはにほへと」と7裂するため、いろは紅葉という和名が付けられました。葉の色は季節に応じて変化し、春は緑色に、秋は黄色に、秋から冬にかけては美しく紅葉します。

ナンテンは日本では縁起のよい木として庭によく植えられます。鮮やかな赤い果実は冬の風物詩です。江戸時代に着物のデザインとして描かれた南天を珊瑚で表現したという贅沢な逸話は広く知られています。

日本原産の美しい花木です。ツバキ（椿）は花だけでなく葉や枝も鑑賞の対象とされ、古くから日本人に愛され多くの俳句に詠まれてきました。種子から採れる油は食用に、またスキンケアやヘアケアにと、幅広く用いられます。

ヤブラン（藪蘭）は、日本庭園の下草として人気の植物の1つです。ジャノヒゲに似た細長い葉を持ち薄紫色のラベンダーに似た花を咲かせますが、ジャノヒゲは青紫の実をつけ、ヤブランは黒い実を付けます。

アメリカヤマゴボウは、明治に日本に渡来し帰化しています。赤紫色の茎をもち、晩春から秋にかけ白い花を咲かせます。一般に雑草とされますが、濃い紫色の実は鳥を魅了するため、バードウォッチング用に栽培されることがありますが、全体にわたって毒があるため取り扱いには注意が必要です。

早春から中春にかけて見応えのあるピンクや白の花を咲かせるサトザクラは、日本では公園木や庭木として定番とされています。一重から八重までさまざまな変種や品種がありますが、いずれも満開時の美しさは格別です。

薄いピンク色の可愛らしい花を咲かせます。同じキク科のシオンは秋に開花しますが、ハルジオンは春に咲きます。根が地中に残っている限り引っこ抜いても生えてくるという粘り強い性質をもっていることから、貧乏草とも呼ばれます。

パエデリア・フォエタイダは山野、道端、河川敷などに普通に見られる日本固有の野草で、万葉集や本草和名などにも登場するほど古くから知られていました。和名の「屁糞葛」は、葉を揉むと独特の悪臭を放つことからこのように名付けられました。

シラン（紫蘭）は東アジア原産で、広く栽培されていますが、国内の野生種は準絶滅危惧種に指定されています。名前の通り多くは紫色の花を付けますが、様々な園芸品種も開発されています。野生種の根は漢方薬としても使わます。

ツユクサは茎から根を出して広がるうえ、地中に種を播く性質があり、至るところで繁殖します。花は朝に咲くと昼には萎んでしまいます。野菜として食用にもなり、サラダや炒め物のほか、花はお茶にも利用できます。

ドクダミはアルデヒド由来の独特の強い匂いを持ちます。中国ではこの匂いを腐った魚にたとえて「魚醒草」と呼ぶそうです。ドクダミはその名前から有毒植物を想起しますが、実際は毒を抑えるという意味に由来するという説があります。

ヤマボウシ (山法師)の花びらのように見える部分は総苞片と呼ばれる葉が変化したもので、その様子が頭巾をかぶる僧侶のように見えることからその名が付きました。秋に赤い実を付けます。幹は硬く、水車の歯車などにも利用されてきました。

18世紀後半、アオキはイギリスに導入されましたが、現地に渡ったのは雌株のみであったため、果実が実りませんでした。その後、雄株も導入され、美しい赤い果実を観賞できるようになったそうです。「青木」という和名は、枝や幹も一年中青々としていることに由来します。

レッドクローバーは、明治初期に鳥やうさぎの食糧として日本に導入された多年生草本で、現在ではどこにでも自生しています。シロツメクサと似ていますが、本種は背丈が高く花は赤紫なため、区別ができます。

ムクゲ（木槿）は、芙蓉やハイビスカスに似た花を咲かせる落葉樹です。韓国の国花ですが、日本でも平安時代初期には存在していたと考えられています。夏の茶花として好まれますが、和歌では秋の季語となります。

シロツメクサ（白詰草）はヨーロッパ原産ですが、帰化して日本全国に定着しています。江戸時代に、オランダからの輸入物が壊れないための詰め物として使われたことがきっかけで渡来したと言われています。四葉のクローバーは、シロツメクサの葉が変化したものです。

ツルニチニチソウは、鮮やかな青や白色の花を咲かせる常緑低木です。グランドカバーとして活用されたり、長いツルを活かし鉢吊りに植えられます。園芸素材として人気が高い一方で、全体に毒を有すため取扱いには注意が必要です。

イモカタバミは春に一度ピンク色の花を咲かせたあと、秋に再び咲く球根性の多年草です。南米が原産ですが、日本でも帰化しているため道端などで見ることができます。根が塊茎でイモのように見えることから芋片喰と名付けられました。

カタバミは、夜半分に閉じた葉が半分食べられたように見えるのがその由来とされます。繁殖力が強く「絶えない」ことから、縁起担ぎで家紋として用いられ、俳句などにも登場します。熟した実は動物などが触れると種子を勢い良く飛ばします。